• ボディータッチの流儀

    先に断っておくが僕が先輩にボディータッチをしたという話ではない。(したいという気持ちは隠すまでもないが)

    職場に女性が多いこともあり、お昼休みはダイエットや美容の話をよくする。僕も筋トレやダイエットをしているため会話に参加することが多いのだ。

    ある日の昼休みにストレッチの話になった。背中で手のひらを合わせられるかという話題になった。座りながらでもできるストレッチだったためみんなで試していたのだ。

    僕とほか何人かができるかどうか試しているときに、先輩が僕の背中を触ってきた。

    なんてことはない。僕が試している時にどこの筋肉が伸びているのかを指さしてきただけだ。

    ふいに触られたこともあり僕はただただびっくりした。そして頭が真っ白になるくらい嬉しかった。なんとも恥ずかし話だが、メンタルはまだ童貞なのだろう。 

    中学生のような悩みだが、未だに本気でわからないことがある。女性との距離感だ。女性は肩やひじが触れ合うことに躊躇がないように感じる。逆に僕はたとえアクシデントだとしても女性と身体が触れ合うと嫌がられてしまうのでは?という恐怖感がある。

    話しかけるのにも抵抗がある。話しかけられるのは嬉しい。女性からならなおさらだ。しかし話しかける事は苦手だ。自分の話で相手を退屈させてしまうのではないかという恐怖感がある。

    ともかく先輩は僕の背中に触ったのだ。先輩はなんとも思っていないのだろう。僕がどれだけ喜ぶか想像もしていないだろう。自分のことをつくづく単純なやつだと思う。

    僕の中で先輩の存在が大きくなる。先輩の中で僕の存在はどう映っているのだろうか。

  • 気の迷いのはじまり

    婚約者がいるにも関わらず好きな人ができてしまった。いわゆる気の迷いだ。その気のはけ口として日記を書いている。

    好きになってしまった相手は職場の先輩で、僕よりも一回り以上年上の方だ。もともときれいな方だとは思っていたが、それ以上の気持ちは持っていなかった。何より彼女には旦那さんとお子さんがいる。旦那さんとはうまくいっていないようで別居されていると聞いているが、いずれにしても彼女にも僕にも相手がいる。だから一緒になりたいなんてことは毛頭考えていない。

    そんな中、仕事の繁忙期に二人で残業する機会が多くなった。自然と雑談をしたり一緒に帰ったりする事が増えた。客観的に見れば単純に一緒にいる時間が増えたから仲良くなっただけだ。相手は一回り以上年上なのだから、なおさら僕のことなど気に留めてないだろう。

    しかし、僕にとってはそうではなかった。

    いつの間にか彼女のことを考える時間が日常になっていた。

    彼女と一緒にいることが楽しく愛おしい時間になっていた。同時に彼女が他の誰かと喋っていると嫉妬じみた気持ちになるようになった。彼女に対して抱いたことのない独占欲のようなものが生まれてしまったのだろう。

    婚約者のことはもちろん大切にしたいと思っている。だからこそ罪悪感につぶされそうなのだ。

    当然僕がこんな状態なのは婚約者にとって最悪の事態なのだと思う。だからこそこの気の迷いは最初からなかったものとして消し去りたい。

  • 対人コンプレックス

    僕は人と関わることが得意ではない。人見知りをするタイプだ。特に集団で出かける旅行などはすこぶる苦手だ。

    ひとりは寂しいが、みんなといると孤独を感じる。

    集団での自分のポジションが分からない事が怖いのだと思う。だから仕事は好きだ。自分の役割があり、特定の分野では上司も部下も自分を頼ってくれる。仕事において僕は存在価値を見出せているのだろう。かたや旅行やイベント事となると途端に何をすればいいかわからなくなる。旅行や飲み会に誘われるのはすごく嬉しいが、みんなとどう接すればいいのか分からない。集団の中で会話に入れず愛想笑いに徹したり、集団の一歩後ろを歩く。ある意味空気を読んでいるのだろうが、その時間が酷く辛い。

    結果的にみんなといる孤独感よりもひとりでいる寂しさを取ってしまう。

    とりわけ、これが自分だけの悩みだとは思っていない。というよりも世の中の大半の人はこの悩みを持っているはずだ。集団の中で自分のポジションを作れる人や見つけられる人が心底うらやましい。世の中の大半の人はそれが苦手でも集団の中のポジションを作ろうとしているように感じる。どんなに苦手でもどんなにストレスでもポジション作りができる人、しようとしている人の事を尊敬している。

    だからと言って一人でいるのが好きなわけではない。好きな誰かと一緒にいることは時間を忘れるほど好きだ。

    今僕が一緒にいたい相手は誰なのか。少なくともその答えを婚約者に言うことはできない。

  • はじめに

    半年後に結婚式を挙げる。そんなタイミングで好きな人ができた。

    婚約者とは大学時代からの付き合いだ。付き合ったり別れたりを繰り返しているが累計の交際期間は10年ほどではないだろうか。紆余曲折あったが ”たぶん” お似合いのカップルなのだろう。

    順調に交際期間を積み重ね両家顔合わせ、結婚式の段取りも順調に進んでいる。そんなタイミングで好きな人ができた。

    婚約者に不満があるわけではない。人付き合いが苦手な僕とうまく付き合ってくれる彼女は、僕にとって稀有な存在だとも思う。よく笑ってくれるし愚痴にも付き合ってくれる。僕の話を遮ることもあるが、それを差し引いても僕にはもったいないくらい素敵な方だ。

    どれだけ言い訳や前段を並べたところでどうにもならないが、好きな人ができた。いわゆる一時の気の迷いというやつだ。自覚はしている。中学生時代の頃の恋心と同じで時が経てば気持ちは落ち着くだろう。しかし、婚約者がいながら好きな人ができたという気持ちの整理が全然できていない。

    だから僕は気の迷いの捌け口として文字起こしすることにした。